1.公知日について
アマゾン(Amazon.co.jp)で商品を販売することによって意匠が公知になると、意匠権を取得することができません(意匠法第3条第1項第3号)。
審査官は、アマゾン(Amazon.co.jp)での「取り扱い開始日」を「公知日」と推定して審査を行います。そのため、以下のような拒絶理由通知書を出すことがあります。
<拒絶理由>
「この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するため、意匠登録を受けることができない」
[引用意匠]
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2022年〇〇月〇〇日
(公知日は、Amazon.co.jp での取り扱い開始日で認定)
検索日 令和4年〇〇月〇〇日検索
掲載者 ***
表題 ***
しかしながら、「取り扱い開始日」は、必ずしも「掲載時期(公知日)」と一致するものではありません。
2.拒絶理由通知書への対応
審査官が公知日を誤認した場合、出願人の対応としては、「引用意匠について、掲載時期(公知日)についての疑義があること」を意見書で主張することになります。
「意匠審査基準」および「意匠審査便覧」の記載が根拠となります。
意匠審査基準には、「出願人から具体的根拠を示しつつ反論がなされ、掲載時期又は掲載内容について疑義が生じた場合 審査官は、その掲載、保全等に権限及び責任を有する者に問い合わせて掲載時期又は掲載内容についての確認を求める。その際、審査官はウェブページ等への掲載時期又は掲載内容についての証明書の発行を依頼する。」と記載されています。
意匠審査便覧には、「表示されている掲載時期に、引用しようとするウェブページ等に掲載されている事項がその内容のとおりに掲載されていたことについての疑義がある場合 例えば個人のウェブページ等であって明らかに事実と異なることが列挙されているものに、引用しようとする発明が掲載されている場合が挙げられる。この場合は、審査官は問い合わせ先等として表示されている連絡先に、改変されているか否かの照会をして、当該疑義について検討する。検討の結果、<省略> 疑義が解消しない場合は、審査官はその意匠を引用しない。また、審査官は、問合せ先が明らかでない場合は、その意匠を引用しない。」と記載されています。
なお、意匠審査便覧には、掲載時期について疑義が極めて低い場合として、「刊行物等を長年出版している出版社のウェブページ」、「学術機関(学会、大学等)のウェブページ」、「国際機関(標準化機関等)のウェブページ」および「公的機関(省庁等)のウェブページ」が挙げられていますが、アマゾン(Amazon.co.jp)の販売サイトは、これらのいずれにも該当しておらず、これらに準じるものでもないと思われます。
以上